卵黄が大きい「大黄卵鶏」の開発
(地方独立行政法人)青森県産業技術センター畜産研究所
強健で、成熟時(注1)卵重が65.9g、日産卵量(注2)が52.6gと市販の一流鶏種並みに優れ、かつ卵黄重が19.9gと重く、卵重に占める卵黄割合(注3)が約30%になる青色卵鶏を開発しました。
注1)43週齡
注2)月産卵量:21-64週齡延べ生産卵量÷21-64週齡延べ羽数
注3)卵黄割合:(卵黄重÷卵重)×100
ねらい
養鶏は輸入外圧や産地間競争に打ち勝つため青森県ならではのブランド卵(注5)の開発が重要となっています。畜産試験場では、「たまごかけご飯」や「ゆで卵」がおいしい卵黄に特徴あるブランド卵の開発を行っています。このたび、卵重や日産卵量が一流市販鶏種並みで、かつ卵黄割合が約30%(通常の卵は27%前後)に達する卵を産む「大黄卵鶏」を開発しました。
(注5)ブランド卵:鶏卵相場によらず商品名を付け一定価格で販売する卵
「大黄卵鶏」の特徴
- 羽色・鶏冠(とさか):くすんだ白色羽・まめ冠。
- 卵殻色:青卵殻色遺伝子を保有するため青色卵を産む。
- 生産性(表1):産卵率80%、日産卵量52.6gで高生産。
- 卵質(表2):卵重65.9g、卵黄重19.9gで、卵黄割合30.4%。一般市販卵に比べ卵黄重量及び卵黄割合が高い。
- 素ヒナの配布:平成20年度から開始。
具体的データ
表1 青森県における青色卵鶏の開発
鶏種 | 大黄卵鶏 | 高卵黄比鶏 | あすなろ卵鶏 |
開発年次 | 2006 | 2005 | 2004 |
交配様式 |
あすなろII鶏 ×卵黄重選抜鶏 |
あすなろII鶏 ×卵黄卵白比選抜鶏 |
あすなろI鶏 ×あすなろII鶏 |
特徴 | 卵黄が重い 青色卵 |
卵黄卵白重比が 極めて高い青色卵 |
通常の 青色卵 |
あすなろI鶏:合成種、1987年造成、青卵殻色遺伝子保有
あすなろII鶏:合成種、1992年にあすなろI種から造成、青卵殻色遺伝子保有
卵黄卵白重比高選抜鶏:白色レグホーン種、2000年に帯広畜産大学から移譲
卵黄重選抜鶏:白色レグホーン種、1984年から卵黄重選抜
表2 青色卵鶏の組合せ検定成績
形質 | 大黄卵鶏 | 高卵黄比鶏 | あすなろ卵鶏 |
ヘンディ産卵率(21-64週齡) | 80.3 | 80.2 | 79.8 |
日産卵量(21-64週齡)g/羽 | 52.6 | 44.6 | 46.3 |
飼料要求率(21-64週齡) | 2.27 | 2.41 | 2.37 |
卵重(43週齡)g |
65.9 | 57.3 | 59.3 |
卵黄重(43週齡)g | 19.9 | 18.5 | 17.8 |
卵白重(43週齡)g | 39.6 | 33.6 | 35.9 |
卵黄割合(43週齡)g | 30.4 | 32.3 | 30.0 |
表3 市販パック卵との卵構成比較
銘柄(表示規格) | 測定個数 | 卵重(g) | 卵黄重(g) | 卵黄割合 (%) |
大黄卵鶏(無選別) | 250 | 65.9±3.5 | 19.90±1.34 | 30.4±1.6 |
高卵黄比鶏(無選別) | 216 | 57.3±4.3 | 18.49±1.50 | 32.2±1.9 |
市販パックA(S) | 10 | 46.7±1.5 | 9.63±0.69 | 20.6±1.1 |
市販パックB(M) | 5 | 63.5±2.9 | 17.72±1.11 | 27.9±1.0 |
市販パックC(M.L) | 8 | 65.2±2.1 | 18.02±1.30 | 27.6±1.8 |
市販パックD(M.L) | 8 | 66.2±4.7 | 17.99±1.29 | 27.2±1.7 |
市販パックE(L) | 10 | 67.4±1.6 | 18.83±1.54 | 28.0±2.3 |
市販パックF(LL) | 8 | 72.8±2.0 | 18.06±0.77 | 24.8±0.8 |
平均値±標準偏差
大黄卵鶏:43週齡、2006年4月19日調査
高卵黄比鶏:46週齡、2005年2月9日調査
市販パック卵:青森県野辺地町内スーパーマーケットで購入、2005年6月3日および同年6月6日調査
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